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2017年5月23日 (火)

呪いの美学、白魔術・黒魔術とは

 みなさん、こんばんは。関東地方の梅雨入りも間もなくのようです。ちょっと、この2〜3日は真夏日の天気が続いてちょっとバテています。みなさんも暑さに負けず頑張ってください。
 さて、今日はちょっと怖い「呪いの美学」についてお話ししたいと思います。

「呪い」には白魔術と黒魔術の二つがある

 「呪い」という文字には「のろい」と「まじない」の二つの意味が同居しているために、どちらの祈祷をやっているかは実際に呪いの儀式現場を見て判断しないと分かりません。でも、多くの場合は前者の「のろい」が主だろうと私は考えています。この「呪い」は西洋では白魔術と黒魔術の二種類があると伝えられていますが、日本においても同じように白魔術と黒魔術が存在すると考えている専門家もいます。

黒魔術:寒念仏に歌われた「丑の刻参り」

 「丑の刻参り」というと、日本人の成人者であればみなさんご存知の「呪い」の儀式で明け方の午前1時から3時にかけて、祈祷者は白装束を着て単独で祈祷を行うものとされています。その「丑の刻参り」の原則は先ず他人に見つからないこと、跡を残さないこと、身を清めて行うことです。それで他人が寝静まった時間を見計らって実行するのです。
 話は変わって、寒念仏は戦国時代末期から江戸時代にかけて流行した民間信仰の一つで1月の寒い時期に行う慣例になっているので、短歌や俳句の季語として採用され歌われているものです。そのひとつを紹介しましょう。

「白いのにその後あは(会わ)ぬ寒念仏(詠人不知)」

 「白いのに」というのは「丑の刻参り」に着用する白衣のことで、寒念仏をしながら寺院に参ったとき、人の目にふれぬよう寒い夜、大木の幹に怨念のクギを打つのを目にすることがあるが、帰るころにはもう姿を見ない。という意味なのです。

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白魔術:俳句などに詠まれた賛歌

 私の住んでいる近くの神社に芭蕉の句を詠んだ石塔が建立されています。最初はそれほど深く考えていませんでしたが、最近になって「裏」が隠されていることに何となくたどり着きました。その芭蕉の句は次の通りです。

 山路来て何や良床し菫草(山路来て何やらゆかし菫草)

良床で「よいとこ:良いところ」と歌っています。この碑は安政四年(1857)に地元の名主によって建立されたものです。下線の部分が石碑などを建てるときによく使われる「賛歌」という手法で地元を賛歌しているものだと伝えられているものです。でも素朴な疑問が次の通り沸いてきます。

1.なぜ、このような歌碑をわざわざ建てたか

 歌碑を建てるといっても、当時の金で十両(現在の100万円程度)前後必要で、村でそのような大金を拠出できる余裕があったかどうか。

2.芭蕉は当地へは足を運んでいない

 芭蕉が立ち寄った地であれば弟子たちの寄付で歌碑を建てたということは理解できるが、当地へは一切立ち寄っていない。

3.年代が離れている
 
 芭蕉がこの句を作ったのは貞享元年(1684)で歌碑の建立年代と170年も離れている。

以上の通りです。従って、この碑が建てられた背景を解読してみると

1.この句には辛酉革命が背景にある

 芭蕉がこの句を詠んだのは貞享元年に旅に出た「野ざらし紀行(甲子吟行)」のときのものです。これは前年度の天和三年の年が庚申の年であったために、翌年に元号を変える「辛酉革命(しんゆうかくめい)」が行われ、元号が「天和(てんな)」から「貞享(ていきょう)」に変えられたのです。

2.幕末の混乱と安政の大獄

 芭蕉の歌碑を建てたのが安政四年(1857)、翌年に安政の大獄が発生し、その後、元号が「蔓延(まんえん)」に変わっている。

以上の二点です。すなわち、芭蕉の歌碑を建てたのはまじかに迫る「大政奉還」というのを見据えて、わざわざ「辛酉革命」の年に芭蕉が出かけた「野ざらし紀行」で作った句を引用して白魔術をかけたのではないかと解読できるのです。

どうですか、みなさん。当時の人々が行った「白魔術」、この後、時代は大政奉還へと向かって行ったのです。理解できましたでしょうか。下の写真は神社の前に建立されている江戸時代の珍しい歌碑です。江戸時代の人々は、このようなソフトなタッチで祈祷(白魔術)を行っていたと考えられます。みなさんの近くにも同じような歌碑があるかも知れませんね。

Fukazawa100

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